男尊女卑がずっとトレンド入りしてる。私は若い頃、女性が強くて有名な某県にほど近い地域で嫁だったけど、そこでも親戚の集まりで女性が別部屋で食べるというのはあったよ。ただ、純粋に男部屋というのでもなくて床の間の部屋にお客扱いの男女が座ってて、招く側の女が別部屋にいてスタンバイしてる。
でも日常では家長であるお爺ちゃんがうどん打ってくれたり蒟蒻作ってくれたりマメで、お婆ちゃんにモラハラするとかそういう気配は皆無だった。町内でもどんなに年配の夫婦も男性が女性を殴ったとかそういう話は聞いたことがほぼ無かったな。女性が強いというより男性が優しい地域性なんだよね。
だから「昔は日本全国九州みたいな男尊女卑文化はあったんだ」と言われれば、ある程度はあったんだろうと言えるけど、そこに地域ごとの強さのグラデーションがあったのかと言われれば、それも昔から大ありだっただろうと思う。
その女性の強い地域に、男尊女卑の牙城の鹿児島県出身で婿入りしてる男性がいましたが(私の元上司)、面倒見がよくて情のあつい人でした。男尊女卑マインドさえ他の地域で叩き直されれば、九州の人は純粋で良い人が多いと思います。
私は関東出身だけど、父親の実家である宮城の祖父は漁師の荒っぽい家の出身で、お祖母ちゃんに日常的に暴力を振るってるのを私は物心ついた時から目にしていたし、食事の時は長男である兄にはあぐらをかかせて、私が足を崩すと「女は正座しろ」と殴られてたので、九州と良い勝負だったと思います。
祖父の兄で漁師を継いだ宮城のおじちゃんは、祖父と同じく酔って奥さんに日常的に暴力を振るってたら、息子さんが成人して関東に出て行ってから母親を呼び寄せて、おじちゃんは宮城の家で独りぼっちで暮らして亡くなったらしい。だから津波の時は空き家だった。そして家も無くなった。
男尊女卑と言われる地域とその逆の地域の一番の違いは何なんだろうと考えてたんだけど、やはり男性が女性に声を荒げたり人格を否定したり、増してや手を上げたりする事を、その地域の男性たちが「家長として仕方ない」とか「男らしい」と肯定的に理解する社会か、「酷いやつだ」とか「あの嫁は可哀想」
と否定的に捉えて、そういう噂が立った男をやんわり遠巻きにする社会かの違いなんじゃないかと思う。どこの地域でも、男性はその地域の男たちに村八分にされる事が震えるほど怖いので、◯ンマーや◯イタマーは他の地域より感情的な男が同じ男たちから蔑まれる地域性なんだと思う。
家の中でカミさんか強いという地域性は、明治大正昭和と長い間あの地域で養蚕が盛んだったからというのも面白い。蚕は農家にとって莫大な現金収入であって、女性はそれら産業の重要な担い手であり、現金収入を握っているというのはやはり権力を握るという事なんだとつくづく考えさせられる。
女性が重要な地域の産業を担ったために権力強めになって、それに伴って男性たちが「女性を大切にできない男なんてドン引き…」という、家父長制価値観と正反対の英国紳士的な価値観に地域全体で変化していく結果はなかなか興味深い。